かつて作家の開高健さんは「日頃サンマばかり食べて一生の記念になる魚を釣りに行きなさい」と言ったのだった

日本では彼岸花が咲きみだれる季節です。
秋の味覚で思い出す食材はたくさんありますが、秋刀魚が高級魚と化してしまっています。

標題の開高さんの言葉はビデオ「河は眠らない」の中で述べられたものです。
含蓄のある、そして年月を経ても色褪せることのない箴言に満ちた内容です。
釣りを志される方でなくても興味のある方はDVD化されているのでどうぞご覧になってみてください。

シドニーでサンマはアジア系のスーパーマーケットにて冷凍で売られています。
ですが最近あまり見た記憶がありません。

2年ほど前までは3本入りで4ドルくらいで売られていました。
日本の近海に回遊したサンマは身に脂がのっており丸々としていますが、こちらのものは長さはあるけれど細身が多く原産国の多くは台湾でした。

自宅でサンマを調理するにしても塩焼きにするのはハードルが高いのです。
私はマンション住まいであり、キッチンに換気扇はついていますが、排気口が外に通じているわけではなく、蒸気や熱気をキッチンにこもらせず、室内全体に拡散させるためだけの代物なのです。

また煙感知器の室内設置が義務付けられており、火事ではなく消防車が駆けつけてしまった場合1600ドルの罰金です。

また、においの問題があります。
一軒家に住んでいる知人がある夜にスルメが食べたくなり、あぶって食べたら翌朝ポストに近所の人からのものと思われるメモ書きで「夜にイカを焼くのはやめてくれ」とあったそうです。
魚やイカなどを焼くにおいというのは食べなれない人には耐え難いものなのでしょう。

ところでサンマの不漁の原因ってみなさんどう思われているでしょうか。
「中国や韓国、台湾が日本近海にサンマが回遊する前に根こそぎ獲ってしまう」
「温暖化で回遊のルートが変わった」
報道を見ると、資源量自体減っていることは承知の上で原因を他に転嫁してしまっているように私には感じます。

今年の2月にあった報道です。

『日中台など8か国がサンマの資源管理を話し合う北太平洋漁業委員会の年次会合が2月に行われ、漁獲枠を前年の56万トンから40%削減し、年33万3750トンとすることで合意、公海の漁獲枠も同様に40%減らし19万8千トンとすることで一致』

しかし昨年度のサンマ各国総水揚げ量は約10万トンです。33万トンの漁獲枠は大きすぎて全く実効性はありません。

また、日本の昨年度のサンマ水揚げは2万9千トン、本年度日本のEEZ内での漁獲枠は日本よりも水揚げの少ないロシアと合わせて13万6千トンとなっており、各国総水揚げよりも漁獲枠が大きく設定してあるひどい状況です。

報道の漁獲枠40%削減は実際の数字を伏せた単なる印象操作に過ぎません。

サンマ資源管理を話し合う北太平洋漁業委員会の参加国は漁獲量順に台湾、日本、中国、韓国、ロシア、バヌアツ、これに漁獲実績がない米国とカナダが参加しています。

各国協議を経て決まった漁獲枠内での操業であれば、乱獲や先取りという伝え方は妥当ではありません。

本当にこの先においてもサンマを食べたいと思うのであれば、きちんとした実効性のある漁獲枠を設定することが必要です。

サンマの水揚げはかつて日本だけで30万トンありましたが、去年の水揚げはその1割にも満たない量であり、本来なら禁漁にしなければいけない状況にあると思います。

サンマの味が苦くなるような話になってしまいましたが、サンマの資源にかぎらず日本の漁業の状況に興味がある方は以下のサイトやYoutubeをご覧になってみてください。

魚が消えていく本当の理由

魚屋のおっチャンネル

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