とある平日の夕方のこと、天気は崩れつつあった。
Kingsfordで学生らしき女性を乗せる。

KingsfordのAnzac Parade沿いの街並みは、アジア系の飲食店が並ぶ雑多な印象だ。近くにUniversity of NSWがあるので若い活気が溢れている。
行き先はMascotだ。走り出してしばらくすると雨が降ってきた。
MascotまではGardeners Roadをまっすぐ行けばよい。Gardenersに合流するのにショートカットするルートをとった。
両サイドに住民らしき車の路駐がずらりと並ぶ通りを、一般車が対面通行でゆっくりと走る。路駐の切れ目はバス停で、ここはバス通りにもなっているのだ。
前の車と距離をとって走っていると前方にバスが対向車線で止まっているのが見えた。
道路が狭く、クリアにならないとバスは通れないので待っているのだった。
ゆっくり近づき30mほどに迫ったところで、バスが突然少しだけ前に出る。
大型車の圧力で反射的にハンドルを左に切ってしまうとクルマのボディ側面に何かが擦れる感触が伝わる。
やってしまった。
この後の修理保険などの面倒が頭に浮かび、ブルーになるのを抑えきれない。
申し訳ないが他の車を呼んでもらえないか、と女性に伝えトリップをキャンセルする。
クルマをとめてみると左後部座席ドアに横一文字で黒く跡がついている。
路駐してある車のどこかに擦ってしまったらしい。車はVOLVOのSUVだった。
雨が降る中、接触したと思われる右フロント部をよく見るが、形跡が見つからないのである。
いったん車に戻って心を落ち着かせる。どこに擦ったのかわからないけれど車内にペンと紙があったので自分の名前と携帯番号、接触してしまった旨を書き、濡れてしまわないようジプロックの袋に入れてフロントガラスのワイパーに挟んでおいた。
雨脚がさらに強くなってきた。いったん家に帰ることにする。
豪雨のなか家に帰りつき車の後部ドアを再度確認すると、黒い筋はついているけれど何となくただの汚れにも見える。
洗車用のバケツと洗剤を持ってきてスポンジでこすると、跡形もなくきれいになってしまった。
雨中では確信が持てなかったが、VOLVOの前輪がわずかに切ってあり、はみ出たタイヤにこすったのである。
これはもう奇跡としか言いようがない。

翌日の朝、車は何ともなっていないから心配しなくていいよ、とテキストメッセージが届いた。
なんだか運を使い果たしたかと思うくらいラッキーな出来事だった。
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